子どもの気管支喘息
(ぜんそく)とは
気管支喘息とは、空気の通り道である気管支が狭くなることで、呼吸の苦しさが繰り返し出現する病気です。気管支に慢性的な炎症があるため、ちょっとした刺激で気管支が腫れる・痰が出るといったことが起こります。
年齢を重ねることで自然治癒も期待できますが、早期の治療によって辛い症状を改善してあげることが大切です。炎症が長期にわたると、気管支が硬くなり治りが悪くなってしまうこともあります。
ゼーゼー・ヒューヒュー
などの症状は喘息かも…
「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴)は、喘息の特徴的な症状です。気道が狭くなることで、空気の通りが悪くなっているために起こります。
赤ちゃんが風邪をひいた時などにも、そもそもの気道の狭さからこのような呼吸音がすることがありますが、正確に鑑別し適切な治療を行うためにも、一度当クリニックにご相談ください。
小児気管支喘息の原因
気管支喘息の原因は、約90%がアレルギー体質にあると言われています。特に、ダニなどのハウスダストアレルギーの子どもが気管支喘息を発症するケースが目立ちます。
アレルギー体質
アレルギーになりやすい体質というものがあります。
ダニ、人やペットのフケ・垢、真菌(カビ)などのハウスダストのアレルギーがある場合には特に注意が必要です。
感染症
ウイルス感染を原因として喘息発作を起こすということがあります。風邪を引いたあとに咳が残り、その放置によって気管支喘息に移行するケースがよく見られます。
運動・冷気
運動によって呼吸が早くなる、冷たい空気を吸い込むといったことは、気管支にとって刺激となるため、気管支喘息を誘発する可能性があります。
気象の変化
季節の変わり目などの気温・湿度の変化、台風接近などによる気圧の変化が気道への刺激となり、気管支喘息を誘発することがあります。
大気汚染・煙
黄砂、PM2.5などの大気汚染物質、タバコの煙などを吸い込むことで気道が刺激され、気管支喘息の原因となることがあります。その他、線香、蚊取り線香の煙も、誘因の1つとなり得ます。
ストレス・睡眠不足・過労
ストレスや睡眠不足、過労などは体内で炎症物質を放出させるため、気管支喘息の発症・悪化のリスクを高めるものと考えられます。
喘息の重症度チェック
喘息の重症度は、咳や喘鳴、呼吸困難などの症状の現れ方、夜間の症状、日常生活への影響、呼吸機能の状態などをもとに、以下のように判定されます。
すでに治療を開始している場合には、治療によって症状が抑えられていることを考慮して判定する必要があります。
症状だけを考慮した重症度 | 状態 | 治療の効果を考慮した重症度 | |||
---|---|---|---|---|---|
Step1 | Step2 | Step3 | Step4 | ||
間欠型 | 年に数回、季節性の咳・軽度喘鳴がある。呼吸困難に至ることもあるが、β2刺激薬によって短期間で改善する。 | 間欠型 | 軽症持続型 | 中等症持続型 | 重症持続型 |
軽症持続型 | 月に1回以上~週に1回未満の咳、軽度喘鳴がある。呼吸困難に至ることもあるが持続せず、日常生活にはほとんど影響しない。 | 軽症持続型 | 中等症持続型 | 重症持続型 | 重症持続型 |
中等症持続型 | 週に1回以上の咳・軽度喘鳴がある。毎日ではないが、中・大の発作を起こすことがあり、日常生活や睡眠に影響する。 | 中等症持続型 | 重症持続型 | 重症持続型 | 最重症持続型 |
重症持続型 | 毎日、咳や喘鳴がある。また週に1~2回の中・大発作が起こり、日常生活や睡眠に影響する。 | 重症持続型 | 重症持続型 | 重症持続型 | 最重症持続型 |
喘息の検査方法
小児気管支喘息が疑われる場合、当クリニックでは以下の検査を行います。
血液検査
アレルギー体質であるかどうか、また何に対するアレルギーを持っているのかを調べるため、血液検査を行います。
多くの子どもの気管支喘息がアレルギーを原因としているため、治療・予防のための大切な検査となります。
喘息の予防方法
ハウスダスト対策
喘息の代表的な原因に、ダニ、ペットや人のフケ・垢、真菌などのハウスダストがあります。
小まめに掃除をする・寝具を洗濯する、布製のソファ・クッション・ぬいぐるみを置かない、敷布団や掛布団を天日干するといったことで、室内のハウスダストの量を減らしましょう。
ハウスダストアレルギーである場合はもちろん、そうでない場合も、予防のために上記のような対策を行うことをおすすめします。
薬物療法
発作時の薬と、発作の予防のための薬があります。
発作時に使用する薬
(発作治療薬)
気管支を広げる吸入薬・内服薬が中心となります。
症状が強い時には、ステロイドの内服薬・注射薬を使用することもあります。
発作を予防するための薬
(長期管理薬)
気管支の炎症のコントロールを図るための薬を使用します。
ステロイドの吸入を中心に、ロイコトリエン受容体拮抗薬、吸引ステロイドと長時間作動型気管支拡張剤の合剤などを使用します。
上記の予防薬で発作を抑えられない場合には、吸入薬や注射薬を導入することがあります。
生活習慣の改善
喘息発作の誘因となる運動ですが、発作がこわいからと身体を動かさないでいると、体力が低下し逆に発作のリスクが高くなります。症状、身体の状態を考慮して、無理のない範囲で運動をします。
また栄養バランスの良い食事、十分な睡眠も、体力づくりに欠かせません。
喘息は何歳までに
治る人が多い?
喘息は、中学校に入学する12~13歳くらいまでに完治するケースが多くなります。ただ、全体の2~3割は成人喘息へと移行します。
自然治癒も期待できますが、お子様の辛い症状を早く和らげ、ご家族が安心して毎日を過ごせるよう、早期に適切な治療を受けさせてあげましょう。